大腸がんや胃がんなどの腫瘍性のガンは外科的手術による切除が第一選択となりますが、治療効果を高めるための補助的療法として、もしくは手術が行えない場合の生存期間の延長やQOL(患者さんの生活の質)の向上を目的として、抗がん剤を用いた化学療法を行います。日本で大腸がんに用いられている代表的な抗がん剤として、「5−FU(フルオロウラシル)」、「ロイコボリン」、「CPT−11(イリノテカン)」、「オキサリプラチン」などがあります。
外科的手術によってガンを切除できた場合でも、リンパ節転移があった場合には再発する可能性が高くなることがわかっています。しかし、手術を行った後に化学療法を行うことで、再発を予防したり、再発までの期間を延長することが可能となります。このような治療を「術後補助化学療法」といいます。一般には、術後補助化学療法の対象はリンパ節転移があるステージIIIの患者さんで、手術後に5-FU+ロイコボリン療法の6ヶ月投与が標準的に行われています。
進行がんなど、根治を目標とした外科的手術が不可能な場合には、化学療法を行うことになります。大腸がんの場合、化学療法のみで完治することは難しいのですが、化学療法を行ったほうが生存期間を延長できることがわかっています。
抗がん剤というと、まず副作用の影響を心配しがちです。たしかに、抗がん剤治療では少なからず副作用が発生します。ではなぜ抗がん剤には副作用が発生するのでしょうか。まずは抗がん剤のメカニズムから考えてみましょう。
ガン細胞は他の正常な細胞に比べて分裂増殖のスピードが速く、そのため異常な腫瘍を形成したり、他周辺の組織にまで悪影響を及ぼします。抗がん剤はこの増殖スピードの違いに着目し、細胞分裂を妨げることで分裂速度の速いガン細胞を攻撃する働きを持っています。
しかし、正常な細胞の中にも増殖スピードの速いものがあり、それらも攻撃されてしまうことで副作用が発生します。増殖スピードの速い細胞の代表として、毛髪、白血球、胃粘膜があげられます。これらが攻撃されることで、「脱毛」「免疫力の低下」「吐き気」の抗がん剤による3大副作用を引き起こします。
このように化学療法には副作用も心配もありますが、治療効果があることも確かです。近年では副作用の比較的少ない抗がん剤が開発されたり、いくつかの薬を組み合わせることで副作用を軽減したりするなど、副作用対策も進歩しています。化学療法を行う場合は、副作用をコントロールしながら、治療を続けていくことが目標であるといえます。
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