人工肛門は腸管の一部
人工肛門は「ストーマ」とも呼び、肛門機能が失われた際に代わりとして腹部に造設する便の排泄口です。人工肛門部分は器具などではなく、腹壁に小さな穴を開け、切断した腸管を腹壁まで引き出して造ります。つまり、人工肛門は腸管そのものでできているのです。
そのため、人工肛門の表面は粘膜で覆われており、腸が蠕動運動する際には一緒に動いたりします。粘膜の表面には神経がないため、こすったりしても痛みを感じることはありません。しかし、粘膜は皮膚に比べると傷つきやすいため、強くこすると出血することがあります。
人工肛門は開いたり閉じたりしない
人工肛門は腸管を腸壁につなげただけのものですので、肛門のように閉じたり開いたり、便をためたりするような機能はありません。そのため、人工肛門に特殊な袋を装着し、そこで便を受け止め、ある程度たまったら捨てることになります。この便を受け止める袋は「ストーマ袋」と呼ばれ、タイプの異なるさまざまな種類があります。このストーマ袋を含めた人工肛門に装着する装具をまとめて「ストーマ装具」と呼び、「面板(めんいた)」と「ストーマ袋」に大別されます。
面板とは皮膚を保護しながらストーマ袋を体に取り付けるためのもので、以下のようなタイプがあります。
全面に粘着テープがついた面板
接着力が強いが粘着テープによる皮膚障害が起きやすいので皮膚保護剤と組み合わせて使うタイプ
皮膚保護剤の周囲に粘着テープがついた面板
汗をかいたり水に濡れた際に皮膚保護剤が剥がれるのを予防できるが、皮膚トラブルも起きやすいタイプ
全面皮膚保護剤の面板
すべて皮膚保護剤でできているため、粘着テープによる皮膚トラブルが少ないタイプ
ストーマ袋は便がたまると人工肛門から外す必要があり、ストーマ袋と面板が一体型になった「ワンピース型」と、ストーマ袋と面板が分離できる「ツーピース型」の2つのタイプがあります。
ワンピース型
袋部と粘着式面板が一体となっているタイプで、交換する際は装具一式を交換する
ツーピース型
袋部と粘着式面板が分離できるタイプで、袋と面板を別々に交換することができるほか、状況に応じて違うタイプのストーマ袋を使い分けることができる
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