大腸の全長は約1.5m、径は小腸の2〜3倍あり、小腸を時計回りに取り囲むように存在します。大腸は大きく盲腸、結腸、直腸に区分され、結腸はさらに上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。大腸は盲腸と直腸の部分が太くなっており、そこにガスや便がたまりやすくなっています。
大腸は収縮運動によって便を移動させます。食べ物が胃に入ると、神経を介して大腸に信号が送られ、下行結腸に大蠕動(だいぜんどう)と呼ばれる収縮運動が起こります。これにより、便は下行結腸からS状結腸、直腸へと押し出されます。
すると直腸から脳に「便がきた」という信号を伝え、脳から指示が出て便意を感じるようになります。朝ごはんを食べた後にトイレに行きたくなるのは、この「胃・結腸反射」によるものです。
また、大腸には数多くの腸内細菌が存在しています。この腸内細菌には消化しきれなかった食べ物の分解・吸収を助けたり、外部からの細菌を排除したりする働きを持つ善玉菌と、有毒ガスを発生させたり、老化を促すなど、悪い働きをする悪玉菌が存在します。この善玉菌と悪玉菌のバランスが重要であり、悪玉菌が増え過ぎると健康に悪影響を及ぼす事がわかっています。
大腸の主な働きは、腸の内容物から水分を吸収して便を作ることです。1日に腸管内に入る水分量は成人の場合で、口からの水分摂取が2L、消化液(唾液、胃液等)が7〜10Lであり、合わせると10L以上となります。大腸が水分を吸収するイメージがありますが、小腸がこのうちの95%を吸収し、大腸で吸収されるのは4%、残りは便や尿として排泄されます。
便は食べ物の残りかすが主原料であり、便として形作るためにはある程度の食事量や食物繊維が必要になります。消化のよい食品やタンパク質の多い食事では、食べ物のかすがあまり発生しません。また、便に含まれる固体物質の3分の1は腸内細菌の死骸や、胃や腸から剥がれ落ちた粘膜、粘液などです。
便は腸のぜん動運動によって腸の中をゆっくり水分が吸収されながら進んでいきます。便が腸の内面を刺激することで口に近いほうの腸壁が収縮し、肛門側の腸壁が弛むようになっているので、便はゆっくりと肛門に向かって進み、逆戻りしないようになっているのです。
便は肛門付近まで本人の意思に関係なく運ばれてきますが、排便するためには本人が意識してお腹に力を入れ、便を押し出す必要があります。運動不足や加齢によって筋力が低下すると、便を押し出す力が弱くなるために便秘になりやすくなります。
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